不登校と学びの多様性

学校
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フリースクールのボランティアスタッフです。

私は週に1度程度、フリースクールでボランティアスタッフをしています。
発達障害児の母として知り合った友人が代表理事を務めるフリースクールという事もあり、ボランティアでお手伝いをしています。
小さいところなので、家庭的な雰囲気のなか、みんなのお母さんな気持ちで子ども達と接しています。

また、うちの子ども達もASDとしての生きにくさを抱える中で、学校に通えなくなるという事態が起きる可能性もゼロでは無いと考えています。

不登校の子ども達

近年、不登校の子ども達は年々増えています。

文部科学省の令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要によると、平成10年度からの調査で令和元年度は過去最多です。
1000人当たりの不登校児童生徒数でみると、平成28年度頃から急激に増えているのが分かります。

不登校の要因

不登校の要因についても上の資料にありますが、いじめなどの明確な要因は少なく、無気力・不安が大きく割合を占めています。
これは令和元年度に限った話ではなく、平成23年度からの資料を見ても同様の傾向が見られます。

フリースクールに来る子ども達もいじめが原因という子も居ないわけではないですが、どうしてもこれが嫌という理由がない子も結構います。
個人的には、小さい色々な「イヤ」が積もり積もった結果なような気がします。

学校が嫌いな子ども達

正直なところ、学校が大好きな子どもはあまり周りに居ません。
うちの子ども達も、学校が嫌いなわけでは無いけれど、面倒くさいところという印象のようです。
私自身もあまり好きではありませんでした。

私の子ども時代よりも今の方が窮屈なのかなという気もしますが、立場も違うので断言はできません。

不登校の子ども達に話を聞くと、やはり学校が嫌いなようです。
学校のシステムだったり、学校の人間関係だったり、認められない思いだったり、そういった事に不安や不満が溜まり、結果として不登校を選択しているようです。

学びの多様性

学校に行かない事を選んだからといって、学ばなくて良いわけでも学ばないわけでもありません。
しかし、学びの確保は難しい問題です。

学校の役割

学校は子ども達に効率よく勉強を教えられる場ですが、それだけではありません。
集団行動やソーシャルスキルを学んだり、学校という団体だから受け入れてもらえる社会科見学や林間学校、臨海学校などもあります。
今はコロナで難しいですが、職場体験などもできます。

個人ではできない体験ができることは、学校の最大のメリットです。

しかし、学校というシステムが合わない子や、一斉授業で学力が上がらない子にとっては、適した学びの場と言えなくなっている現状があります。

学校以外の学びの場

フリースクール

不登校といえばフリースクールというのがようやく定着してきました。
機会があって、東京シューレ理事長の奥地圭子さんの講演も聞かせていただいたことがありますし、私がお手伝いしているフリースクールも、東京シューレのフリースクール創業支援プログラムの助成を受けていますので、フリースクールの必要性や理念などは分かっているつもりです。

しかし、どれだけ身近なのかと言われると、都市部では選択肢が色々あり学校も出席扱いにしてもらえたりしますが、地方にはフリースクールがほとんど無かったり、あっても出席と認められなかったりします。
金銭的にも大きな負担になるので、なかなか現実的には厳しいと感じています。

*フリースクールの中には家庭の経済状況に応じて減額制度があるところもあります。

ホームスクール&ホームエデュケーション

文字通り、家で学ぶという事です。
世界的には学びの多様性の一つとして認められ、欧米諸国では法的に家庭での義務教育が認められています。

ホームシューレなどのホームエデュケーションの支援機関利用する方もいらっしゃるようですし、親子で独自に学習計画を決めて子どもに合ったオーダーメイドの教育をする方います。
最近は勉強の解説動画などもあり、家庭での学習も多種多様です。

ただし、フリースクールやホームスクールは日本では法的には認められていないため、学校に在籍しているという形になります。

不登校特例校

正式には、不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校と言います。

文部科学省の特例校についてのwebページによると、平成16年4月に八王子市立高尾山学園小学部・中学部が開校したのを始め、現在全国に17校設置されています。
うち7校は東京にあり、現在はまだまだ実用的とは言えません。

テレビ番組でも不登校特例校の特集があり、2021年4月に開校した岐阜市立草潤中学校が紹介されていました。
番組では井上博詞校長から学校の概要や取り組みについて詳しく説明がありました。
また、草潤中学校の開校除幕式にご出席されスピーチをされた京都大学総合博物館 塩瀬隆之准教授もご出演され、いずれは不登校特例校という言葉がなくなり、全ての子ども達がこのような学校を選べるようになってほしいという事を話されていました。

実際に開校除幕式の時の塩瀬准教授のスピーチがyahoo!ニュースに掲載されていましたので、ご紹介します。

学校を子ども達の居場所にしたい

現在の学校は、極端に言いますと適応できた人だけが通うところになっています。
そして、適応できるのが当たり前のようになっている今の社会もあります。

わが家の子ども達と学校

わが家の子ども達は不登校ではありませんが、今の学校に適応できているのかと問われると、決して100%適応できている訳ではないと思います。
ですが、わが家の場合、ASDの診断があることで特別支援学級に在籍することができますし、普通級に在籍していても個別の支援計画を作成してもらえます。

運動会やマラソン大会も、基本的には出席ですが、無理強いはされません。
出たくなければ出なくても良いですし、練習も参加できる時だけ参加すればいいのです。
とはいえ、本番に出なかったことはありません。

こういった配慮をしていただけるのは、もちろん障害があるからですし、この配慮が必要だから病院で診断をしてもらっています。

子ども達に必要なサポート

以前のブログで自閉症スペクトラム症のグラフを紹介しました。

健常児からASDの子ども達の間にあるスペクトラムですが、どこからどこまでが健常児でどこからどこまでが発達凸凹なのか誰にも分かりませんし、苦手な事はサポートして欲しいけど、得意な事は少し見守って欲しいというような事は誰でも考えることだと思います。

そして、学校ってそうやって子ども達をサポートするべき場所ではないかなと、私は思っています。
どの子も一人一人が過ごしやすいを求めていい場所になって欲しいと思っています。

子ども達を通じ、学校でたくさんの先生方と出会い、どの先生も子ども達を大事に思ってくれていますし、適切なサポートをしてあげたいと思っているのを知っています。

なぜ今はできないのか

しかし、今の日本の学校には難しいと思います。

圧倒的に人手が足りないからです。
せめてクラスに副担任が居たら、せめて各学年に支援の先生が1人居たら、せめて学校を担当する心理士が常駐できたら。

学校って変わると思います。

そのヒントが草潤中学校のような不登校特例校だと思います。

まとめ

不登校と学校、学びの多様性について書きましたが、子ども達の事を学校に全て任せるという事ではありません。
学校に任せたいところは、家庭では学べない事だと私は思っています。

学校という集団だからこそ学べる事、様々な人が居て様々な考え方があるという事、家族ではない他人への思いやりや尊敬の心、礼儀。

教育とは、勉強だけではなくそういう事も全て含めて教育だと思っています。

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